遠距離介護について 前回からの続き

遠距離介護についての前回の続き。祖母は10月17日に肺炎のために入院した。肺炎自体は軽度だということで、入院計画書には2週間程度の入院になると記載されている。祖母には認知症があり、短期記憶障害は割と進んでいた。服薬管理はもうできなかった。それでもデイサービスや訪問介護を利用しながら、一人暮らしは続けられていた。かなり危なっかしくはあるけれど。でもそういう認知症高齢者は腐るほどいるのだ。

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祖母の退院先は介護施設に?

僕もケアマネージャーをしているときには、認知症かつ独居の高齢者をたくさん見てきた。彼らは高所に張られたロープを渡る曲芸師のようだ。ギリギリの綱渡りの生活。少しバランスを崩せば、下は奈落だ。そして彼らの命綱は介護関係者である。祖母も早期の肺炎を発見してくれたのはデイサービスの職員だった。

もともと、年内に一度祖母の様子を見に行こうと計画していた。僕の上の子供の小学校が1週間の秋休みがある。それもあって、子どもたちを連れて福岡に旅行がてら行くつもりだったのだ。まさに福岡行きのフェリーのチケットを購入した日に、父親から祖母が入院したと連絡が入った。タイミングが良いのか悪いのか。

僕が福岡に行くのは、10月30日である。入院は2週間程度とのことだったので、うまくいけば退院につきそい、家まで送れるかも、と考えていた。しかし、父に祖母のことを聞くと、病院に介護施設を探してもらっていると言う。

介護をめぐる家族関係は難しい

僕は現在の祖母の状態を見ていないので、本当に介護施設に入らないといけないような状態なのかわからない。在宅復帰ができないほど重度の介護が必要になっているのなら、介護施設への入所も仕方ない。自分で歩けていた人が軽度の肺炎程度で重度の介護が必要になるかのか?と思われるかもしれないが、そういうケースもある。80歳も半ばを過ぎた高齢者はちょっとしたことで介護度が一気に進んでしまうことがある。そういう利用者を何人も見てきた。

でも、介護施設に入るほどでもないとしたら?入院によって認知機能のより一層の低下がすすんでいるとは思う。でも、かなり進んだ認知症の人でも、介護サービスをうまく活用して在宅生活をしている人はたくさんいる。僕の10数年の介護経験から言うと、簡単ではないけれど、不可能ではない。

でも父としてはそんなことには関係なく、一人暮らしをもうさせたくないと思っている。前回も書いたけれど、父は疲れているのだ。たとえ在宅復帰できたしても、また同じようなことが起こるだろう。その不安が強い。介護施設に入ってくれるなら、そういった不安感が解消されると思っている。また、今回のように入院が必要な事態になったら、介護施設の人が対応してくれると思っている。それは父の単なる期待にしか過ぎないのだが。

僕は父の息子であり、祖母の孫である。父は祖母の息子であり、長男である。いくら僕が専門家としての意見を父に伝えようが、家族内の立場としては祖母の孫でしかない。何かを決定するのは長男である父であり、孫である僕ではないのだ(息子とか孫とかややこしいな)。いくら介護福祉士とか社会福祉士とかいう資格を持っていても、父にとって、僕は息子の範疇を出ない。

介護の方針を巡って家族内で揉めることがある。いま僕が相談を受けているケースでは、母親の介護方針を巡って3人の兄妹がいろいろややこしいことになっている。それぞれの子供は親の介護のために一番良いと思う方法を提案しているが、意見が食い違ってぜんぜんまとまらないのだ。家族には歴史があり、兄妹といってもみんな仲良しなわけでもない。家族だから譲れないという部分がある。この辺りが家族を介護する難しさだと感じる。だからケアマネージャーの意見や、ケアに理解のある医師の意見が効くのだ。他人に言ってもらった方がいい、ということがあるのだ。

ケアマネは変えられる、と言っても

祖母を初めて担当してくれたケアマネージャーとは父と介護の考え方が合わなかった。僕も「?」と思うことがあった。父に「ケアマネは変えられるから、変えればいい」と話したのだが、父はなかなか変更しなかった。

「そこまでしなくていい」とか、「ケアマネにまかせているのだから」と父親は言う。大阪ー福岡という物理的な距離があるため、細かい要望があったとしても伝えにくい。だから最初からある程度のことはあきらめる。そんな考えだったのかもしれない。僕としてはそんな父の態度に不満があった。僕は自身が介護職だったし、今も対人援助職だから、求めるレベルが高いのだと思う。

僕もケアマネ時代に経験があるのだが、同居して介護をしている家族さんからは顔を合わせて話を聞く機会が多いし、介護サービスの内容を実際に見てもいるから、細かく要望が出る。でも遠距離介護では細かい要望を伝えることは難しい。介護保険制度を知らないのだから、よけい難しい。

細かく介護内容に注文をつけたり、クレームを出してくる家族にも出会ったし、こちらが頭が下がるような献身的な介護をしている家族も見てきた。どこまでのケアのレベルで満足するかは、家族によって違うのだ。これは介護リテラシーの問題も大きく影響する。

ただ、ケアマネだった者の立場として言うと、家族の意向はきちんと伝えたほうがいい。ケアマネージャーとしてもケアプランの方向性を決めることができる。ケアマネはケアや介護サービスは熟知しているが、家族ではない。家族としてどうしてほしいのか、どんな介護(生活)を望んでいるのか。こればかりはケアマネが判断できるものではないのだ。

キーパーソンの意向を尊重する

10月30日に祖母が入院している病院に行き、どんな状態かを見てくるわけだけれど、僕の判断はすでに決まっている。たとえ、僕の目からみて介護施設に入るほどでもないと思ったとしても、父の判断を尊重することになるだろう。なぜなら介護の方針を最終的に判断し、その責任を負うのは父だからだ。僕は判断することはできてもその責任を負う立場にはない。ここが重要なのだと思う。僕も自分の立場をどこに置くかをこれまで試行錯誤してきた。僕は介護や介護保険制度についての専門的な知識を持っていると思う。でも、それが必ずしも家族(父)にとってプラスに働くわけではないことが、これまでの関わりの中で見えてきた。正直に言えば歯がゆい部分があったし、今でもそうだ。

僕がケアマネとして祖母を担当していたら、いろいろなことができるだろうな、とも思う。でも、それは現実的な話ではないし、僕にできることは父が求めた時にアドバイスするくらいのことなのだ。求められてもいないのに、父にあれこれ言うのは逆に父にとって負担になる、ということがこれまでのやり取りのなかでわかってきた。

だからキーパーソンの意向を尊重しようと思う。まあそれもこれも実際に祖母の状態を自分の目でみてから、ということになるわけだけれども。さて、どうなるだろうか。またこの続きはブログに書いていこうと思う。

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