今年のケアマネ試験合格者のうち何人がケアマネに転職するのか?

今年のケアマネ試験を受験したのは13万1560人。そのうち合格したのは2万8233人だから、合格率は21.5%である。昨年の合格率は過去最低で13.1%だったから、今年はずいぶん合格率が高い。国はケアマネの数はもう十分と判断していて、数を制限するために今年も試験を難しくし、合格率を下げると僕は考えていた。予想がはずれた結果だ。まあケアマネの資格保持者が増えるのは良いのだが、合格者のいったい何割が実際のケアマネ業務に就くだろう?今回はそれについて考えてみたい。

目次
・これまでにケアマネ試験に合格した人の総数は69万5017人
・ケアマネに転職する人は多くないと思う理由
・潜在的な介護福祉士を呼び戻すための8万円支給案
・それでもケアマネの仕事は魅力的だ

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これまでにケアマネ試験に合格した人の総数は69万5017人

ケアマネージャーの資格試験は介護保険が始まる前から行われていた。介護保険が開始されたのが平成12年で、試験はその2年前の平成10年に第1回目が行われた。それから20年の間に、合格者が69万人を超えたわけだ。しかし試験に合格しても、その後の研修を受け、都道府県に登録しないとケアマネ業務はできない。だから69万人がそのまま実務に就けるケアマネではない。中には資格だけ持っていて、一度も実務に就いたことがない人もけっこういる。

昔は介護職にとってキャリアの一つの到達点だったケアマネージャーだが、現在では同じ法人で同じ号給だと、介護職よりも給料が安い職種になってしまった。ケアマネに対する介護報酬が安すぎることが根本にある。そして他の理由として施設介護職なら夜勤手当がつくことと、在宅の介護職でも処遇改善加算がもらえること。そしてきわめつけは直近の介護保険法改定で決まった勤続10年以上の介護福祉士に月8万円の支給が決定されたことだ。

介護職員の求人が集まらないことは大きく取り上げられているが、ケアマネの求人も人が集まらない現状にある。そのことについてはメディアも触れないし、とうぜん世間一般もそんな認識は持っていない。というか関心すらない。ケアマネの資格保持者は確実に増えているのに、求人に人が集まらないのは国の徹底的な介護職贔屓(優遇策)のためだ。

潜在的な介護福祉士を呼び戻すための8万円支給作戦

僕個人の話をすると、介護福祉士として働いた期間はけっこう短い。相談員やケアマネ経験の方が長い。8万円目当てでも、今から介護職として10年の勤務期間をめざす気にはぜんぜんなれない。たとえ8万円も給料に上乗せされるとしても、介護職を続ける必要があるのだし、僕としては復帰する気にはならない。

僕はそう考えるのだが、中には介護福祉士として働いていたけれど、結婚や出産で現場を離れたいた人もいる。すでに10年の勤務経験を積んでいる人なら復帰すれば高い給料が約束されているし、あと2,3年ほどで10年に到達する人にとっては、じゅうぶん現場復帰の動機になるのではないかと思う。

介護福祉士の資格を持っていても、介護職に就いていない人はけっこう多い。政府の統計によると、平性27年時点で介護福祉士の登録者は139万8315人。そのうち実際仕事に従事しているのは78万2930人だ。従事率は56%である。

僕は介護福祉士の資格を持っているが介護職ではないので、従事していない44%側に入っている。まあ56%も働いているのなら十分な気もするが、そうでもないのだろうか?僕みたいに介護福祉士と社会福祉士を持っていて、そのうちケアマネ資格を取得して相談職に就いた人もかなりいるはずだ。介護福祉士を持っているからと言って、介護職を続けなければならない理由はないと思うのだけれど。

ケアマネに転職する人は多くないと思う理由

それでも国としては、絶対的に不足することが確実視される介護職をなんとか増やしたいのである。この介護福祉士10年選手に8万円支給の実施は2019年10月から。これは消費税増税と同時期である。つまり、その増収分を財源に充当するわけだ。

総額で1000億円の税金が投入されることになる。現場で働いている介護福祉士は78万人いるわけだが、勤続10年以上の人間になると、政府の試算では常勤換算で約20万人と推計されている。この8万円は毎年支給されることになっているらしいが、そんな財源をどう確保するのだろう?まあ僕が心配するようなことでもないのだけれど。

毎度のことだが、8万円が額面通りに支給されるわけではない。介護事業所の裁量でどのように支給するか決めることができるからだ。実際には2,3万円だけ(それでももらえるだけいいけど)とかもありうる。これは蓋をあけてみないとわからない。

処遇改善加算はかならず介護職員に還元しないといけないが、今回の8万円支給は今のところそこまで厳格な取扱ではないらしい。まあこれについては今後、もっと細かい規則が決まってくるかもしれない。
もしかしたら10年選手の介護福祉士以外の職員にも何らかの形で還元されるかもしれない。いずれにしても処遇改善加算とは別の給与アップのお金になる。ケアマネの資格をとっても、給与のことを考えたら介護職から離れられなくなるんじゃないだろうか。そうなれば国の思惑通りになる。

まあ来年10月に支給始まりまで、勤続10年以上の介護福祉士さんは注意深く見守っていってください。僕には関係ないことなので今後このネタをとりあげるかどうかはわかりません。あしからず(自分には関係ないのでちょっとやけくそ)。

それでもケアマネの仕事は魅力的だ

僕はこの業界に入ってから、ずっと施設介護の現場で仕事をしてきた。施設介護の現場が好きだったからだ。でもいろいろな理由があって、在宅介護の仕事をしてみたいと思った。やはり一度はケアマネージャーの仕事をしてみたかったのだ。
そして必要な実務経験を積んで、ケアマネの資格を取ったあと、運良くすぐに在宅介護の現場に異動できた。確かに給料は下がったが、在宅は施設とはまったく違う世界だった。例えるなら、エラ呼吸だったのが、いきなり肺呼吸に変わったような変化だ。
施設では生活のルールはわれわれ職員側が決める。ルールは一つしかなく、そのルールに利用者が合わせる。でも在宅では家ごとにルールがあり、それに合わせるのはわれわれの方なのだ。

その世界を経験できたことはとても面白かった。また施設の介護職員はいわば全体を構成する一つの小さな駒である。駒以上の動きは求められないし、一つくらい上手く動かなくても全体への影響はあまりない。他の駒がその分よく動いてくれるからだ。

だが在宅のケアマネは風車のような存在だ。風車が動かなければ、他に動力が伝えられない。風車の動力なしには物事が前に進まない。独立性の高い職種だから、それだけ責任は重い。施設介護職なら体調不良で休んでも、他の職員が業務を穴埋めしてくれる。しかしケアマネは体調が悪いからといって、今日予定している担当者会議を代わりにしてくれ、と同僚に頼むことはできない。

僕はチームワークが苦手な人間なので、在宅のケアマネージャーは自分に合っていると思った。自分の仕事の範囲が明確だ。野球でいえば8回裏まで投げたから、あとは抑えのピッチャーにまかせて自分はベンチで麦茶、なんてことにはならない。良くも悪くも最期まで責任は自分にかかってくる。

僕が考えるケアマネ仕事の魅力を以下に列挙してみた。

■仕事の裁量権が大きい
1日のスケジュールや仕事の段取り自分ですべて決めることができる。何時に利用者宅に訪問するか、今月の訪問回数は何回にするか?(最低月1回だが、状態によっては複数回訪問することになる)。
どこの介護事業所に依頼するか?事業所ごとに特徴があるから、その組み合わせは自分で考える。誰からも横ヤリは入らない。この裁量権の大きさは在宅のケアマネージャーにしかない。とうぜん責任が一極に集中するのだけれど、僕はこれが魅力だと思っている。

■業務時間中に研修に参加
職場によると思うが、僕がいた居宅では自分が行きたいと思った研修があれば、上司に許可をとれば業務時間中に参加することができた。ケアマネ連絡会というものもあるから、定期的に集まりがあって研修に参加することができる。
また僕が勤務していた所は地域包括支援センターが併設されていた(僕は居宅と地域包括の両方に籍を持つ特殊な立場だった)。地域包括は居宅の比ではなく、研修だらけである。業務時間のうち、2〜3割は研修だといっていいくらいだ。お金をもらいながら勉強できる。非常においしい。
研修に駆り出されるのが多いのはいわゆる3職種(主任ケアマネ、社会福祉士、看護師・保健師)だが、要支援者相手の予防プランナーも研修に参加する機会は多い。予防プランナーは要介護のケアマネジメントとは少し違うところがあるが、仕事の内容はケアマネ業務と変わりない。

■人的ネットワークが広がる
在宅では実にいろんな社会資源を活用しながらケアサービスを提供していく。とうぜん人との繋がりが増えていく。各種介護事業所の管理責任者の人たち、病院の医師、看護師、地域連携室のMSW、リハ職。役所の介護保険課、生活保護課、社会福祉協議会の職員たち。そして地域の老人会、婦人会、民生委員の人々。
介護施設という狭い世界にいると出会えない人ばかりだ。在宅介護の現場はいろいろな人に会えるという意味で刺激にあふれている。もちろんトラブルに見舞われることも多いのだけれど、それを乗り越えていくのが専門職としてのやりがいを感じられる要素にもなる。

在宅介護の現場では本当にびっくりすることに出会う。これは施設介護の現場よりも確実に多いと思う。中には楽しいこともあるし、悲しいこともある。僕は施設介護に魅力を感じているし、自分のフィールドはそこだと思っているが、在宅の現場を経験したからこそ得たものは大きい。

僕はケアマネの更新研修の内容があまりにもアホらしくて途中でほっぽりだしてしまい、現在はケアマネとしては働けない状態である。別に今はケアマネとして働く気はないのだが、資格を無駄にしておくのも惜しい。だから来年は再研修を受けておこうかなと考えている。研修費も高いし、かなり時間もとられるし、次回は途中でキレてドロップアウトしないようがんばるつもりである。いや、ほんと。

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