ケアマネは介護サービスの相談先になっていない、のか

僕は2ヶ所の地域包括支援センターに勤めていたことがある。地域によって違うのだが(最近知った)、地域包括支援センターにはふつう居宅介護支援事業所(ケアマネージャーがいる事業所)が併設されている。ものすごーく単純にいうと、地域包括では要支援の人のケアプラン作成を、居宅介護支援事業所では要介護の人のケアプラン作成を担当している。

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役所の介護保険課はあてにならない

いずれも介護の相談窓口である。在宅介護サービスを利用する場合は、かならずこのどちらかの相談窓口にくることになる。役所にある介護保険課は何もしてくれないのでご注意を。だいたい役所の介護保険課の窓口対応している人はほぼアルバイト(非正規職員)である。

書類を処理する仕事はできるが、介護相談などにのれる能力はない。正規職員であっても役所は数年ごとに課をローテーションさせるから、本当の専門職というのは一握りである。もちろん専門的な仕事を頑張っている人はいる。幾人か優れたケースワーカーたちと一緒に仕事をしたことがある。彼らは本当のプロだと思う。いくらなんてもそういう人たちがいないと役所の仕事がまわらない。

でも中には終業時間の15分前になると鞄を膝の上にのせて、ぼーっと椅子にただ座っている役所職員もいる(制服をきているから正規職員である)。あの人たちはみな一様に死んだ魚みたいな目をしている。光彩はうしなわれ、濁っているようにさえ見える。口は半開きで、微動だにしない。重度のパーキンソン病患者みたいに無表情である。よく目を凝らすと、肩に疫病神が見えそうになる。そして終業時間になると未練も情愛もなにもない、みたいな感じで職場を出て一路家路につくのである。あの人たちはいったい何を楽しみにして生きて・・・、まあこの話は関係ないのでやめときます。

介護サービスの相談先の最多は「家族や親族」

えーと、何の話をしていたんだっけ。そうそう、僕が働いていた地域包括支援センターは役所のすぐ近くにあったのだが、介護の相談者はいちど役所にいってから、うちのセンターを紹介されてやってきた。誰も介護の第一相談先として地域包括支援センターの存在を知らなかったからである。ここからがやっと本題。

介護サービスの利用に関する相談先として、「家族や親族」と回答した人の割合が全体の半数超に上り、「ケアマネジャーなど福祉の専門職」や「地域包括支援センター」を大幅に上回ったことが、大分県が県民を対象に初めて行った在宅医療と介護に関する意識調査の結果で分かった。
介護サービスの利用に関する相談先について尋ねた結果、「家族や親族」が53.5%で最も多く、以下は「医師や看護師など医療の専門職」(35.6%)、「知人や友人」(23.6%)、「ケアマネジャーなど福祉の専門職」(20.3%)、「地域包括支援センター」(16.8%)などの順

わかる介護 介護の相談先、ケアマネなどは2割にとどまる―大分県が初調査
http://wakarukaigo.jp/archives/9180

僕からみれば割合が少ないのはあたりまえ、というか、ケアマネに相談するのが逆に20.3%もいるのだと思った。地域包括支援センターの16.8%と合わせれば約4割もの人が相談しにいっているということである。僕としてはけっこう多いじゃないかと思うのだけれど、この記事を書いた人とは意見が異なるようである。

家族や親族が多いのは当たり前

まず相談先として家族や親族が多いのは当たり前だろう。介護なんてすごくプライベートな領域の話である。自分の親が物忘れが多くなって認知症の心配がでてきたときに、友達との気軽な会話の中で話題にだしたりできだろうか?

「うちの親がさあ、最近変なのよ。スーパーで冷凍うどんを30個もまとめて買ってきちゃってさあ、冷凍庫にはいんないのよ。みんな溶けちゃってるの。わけわかんない」なんて話すわけがない。

夫婦ふたり暮らしで、どちらかの配偶者にそんな行動がみられたら、まずは自分の子どもに相談するだろうし、子どもが親のそんな行動をみたら、まずかかりつけの医者に相談しにいくのではないだろうか?アンケートの結果はしごく当たり前のことだと思う。介護の専門家に相談しにいくのは、そのあとの段階になるのが普通である。しかし、このアンケート結果はそれぞれのパーセンテージを足すと100%を超えるので、複数回答にしているのだろうか?それだとあまり意味がないと思うのだけれど。

大分県の調査とは関係がないと断っておくが、このネタをとりあげたサイトの記事タイトルと引用した文には介護関係者として違和感を覚える。相談先として「家族・親族」および「医者・看護師」が多いのは当たり前である。触れ合う機会が多いのだから。高齢者はたいてい持病を持っていて、通院している人が多い。また転倒して骨折し、その結果要介護状態になるケースが多いから、ケアマネよりも先に医者や看護師が相談先になる。

ケアマネたたきの印象操作?

普通の人はふだんの生活でケアマネがいる居宅介護支援事業所や、地域包括支援センターに行く機会などまったくない。介護に縁のない一般社会人にとって、地域包括支援センターなんて洞穴の中の小人の世界くらい縁がない。
包括支援センター「知らない」が約7割―50代でも半数下回る

「ケアマネなのに、介護の相談先になっていない」みたいな印象を与えたいのだろうか。別にそんな意図がないのなら、僕の勘ぐりすぎということだけれど。でも「介護の相談先、ケアマネなどは2割にとどまる」じゃなく、別のタイトルにしてもいいわけである。例えば「介護の相談先、ケアマネ・地域包括支援センターが約4割」。これでも間違っていない。

大分県の調査結果をみたが、「介護サービスの相談」がどのレベルを指すのかわからなかった。介護サービスの相談といってもレベルがある。まだ介護が必要でないけれど、将来のためにどんな介護サービスがあるのか家族を話し合う場合もあるし、実際に介護が必要になり、具体的な利用を考えている場合もある。前者と後者では相談先が異なるのはあたりまえだと思うのだが、どうも細かく分けていないような感じである。

アンケートの質問用紙をみても、とてもシンプルな質問項目だった。あまり属性を細かくわけると集計が大変だし、アンケートの目的が変わってしまう。しょうがない部分はあるのかもしれない。それにしてもこのアンケートは何を知りたいのだろうか。よくわからない。

大分県の在宅医療に関するアンケート調査の目的は以下のように書かれている。

高齢化の進展等により、療養や介護を必要とする方々の増加が見込まれるなか、在宅医療・ 介護に係る意識やニーズを把握することにより、今後の在宅医療・介護推進の施策検討等の基礎資料とするために実施しました。

http://www.pref.oita.jp/uploaded/life/2004523_2018928_misc.pdf

いまいち意図がつかめない文章である。まあ調査するにはちゃんと理由があって、調査で得た結果は何かにちゃんと役立つよう使われるのだろう。アンケートには「 あなたの家族が、長期に渡って医療や 介護が必要になったとき、主にどこで療養し てほしいと思いますか」という項目があった。

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結果をみると、「病院など医療機関 53.6%」、「特別養護 老人ホームなどの介護施設 17.8%」、「有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅 5.3%」ということで病院・施設が圧倒的に多い。自宅は16.9%だったので、自宅でみることは困難だと考えている人がものすごく多い。在宅診療、在宅介護を推し進めたい行政(国)がこの結果をどのように反映していくのだろうか。

介護施設で死ぬのは病院で死ぬより幸せ?

この結果はたぶん大分県だけでなく、日本全国どこでもだいたい同じだろう。またアンケートからは介護施設で最期をむかることを希望する人が増えていることも見えてきた。「死に場所」がいぜんとして病院が最多なのは変わらないが、データとしても実感としてもどんどん介護施設が「死に場所」=「看取りの場所」として増えている。常識的に考えれば、今後は介護施設がその割合をより増やしていくだろう。

自宅で看取るのはとてもとても大変だし、病院で看取るのは何か無機質だ(そもそも病院は死なせてもくれない)。その中間にあたる介護施設は看取りの人気場所になっていく気がする。でもまあ介護施設だから病院よりも良い看取り(死に方)ができるとは限らない。

ろくな介護をしてもらえず、夜勤帯に誰にも気づかれず1人ひっそり息を引き取る人もいる。病院で大勢の家族や友人にかこまれて死ぬ人もいる。本当に大事なのは、どこで死ぬかより、誰に看取られて死ぬか、ではないだろうか。

なんてことを書きつつ、僕はふと思う。「どこでどのように死ぬのが尊厳ある死か」なんてすごく贅沢な話しではないかと。
世界には何の脈絡もなく突然、暴力的に命を奪われるような社会で生きている人たちがいる。そんな環境でしか生きられない人たちのことを考えると、「尊厳死」について真剣に議論している大人たちがときにすごく滑稽に見える。

なんだか最初のテーマからずいぶん離れたところに着地してしまった。それもこれも終業時間の15分前には帰る準備をばっちりきめたあの税金泥棒たちのせい・・・じゃないですね。他人のせいにしてはいけない。でも腹たちますよね、あれ。あんなので僕たちより高い給料もらっているんだから。

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