CSLabのアドボケイトとは?

アドボケイトとは権利の代弁者のことである。でもこう言われてもよくわからないと思う。僕が提供するアドボケイトは、わかりやすく言えば代行業の一つである。こんなことを商売にしているのはおそらく日本で僕だけだと思う。

そこで世間には他にどんな代行業があるのかな?と思って調べてみた。中には「え?こんなものも?」というものもあり、人っていろんなことを考えるんだなあと感心してしまった。ま、僕も人のことは言えないんだけれど。

代行業は日常生活のさまざまな部分に入り込んでいて、利用したことがない人は存在しないのではないだろうか?下にあげた代行業以外にも、僕たちはいろいろなものを代行してもらっている。例えば肉屋で肉を買うときには、屠殺・解体を専門業者に代行してもらっているし、トイレットペーパーだって伐採・製紙・加工などを代行してもらっているのだ。社会を作り、分業しながら生きている人類にとって、代行はきわめて自然なものなのだろう。

画像の説明

専門性の低い代行業

専門性が低いと書いたが、便宜的にそう表現しただけである。中には非常に高い専門性をもって仕事をしている人がいるかもしれない。

買い物代行
都市生活者をお客にした代行業。「買いたい商品があるがお店が遠い」から「忙しくて買い物をする時間がない」といったニーズに対応している。もちろん僕は利用したことがない。今後利用するつもりもない。

運転代行
これはビジネスとしてしっかり定着している。飲酒などの理由で自動車の運転ができなくなった人の代わりに自動車を運転し、目的地に送るサービスである。居酒屋のトイレの張り紙でよくみる。

電話代行・秘書代行
会社や個人事業主の電話を代わって受けてくれる。名前・連絡先・用件を代わりに聞いてくれて、知らせてくれる。事務員を雇うほどじゃないというときには便利なサービス。これも立派なビジネス。僕の場合は固定電話にかかってきた電話は携帯に転送しているので、必ず本人が出ます。

墓参り代行
これも聞いたことがあると思う。お年寄りや、遠方の場合に需要がある。個人的には墓参りを見ず知らずの他人に頼むことについて違和感を持つけれど、まあ依頼者の事情はさまざまなのだろう。お墓を荒れ放題にするくらいなら、代行で掃除を頼んで手の一つでも合わせてきてもらいたい、という気持ちなら分からなくもない。

ファッションコーディネート代行
金額を設定し、寸法を伝えることでアウター・インナー・ボトムスの3アイテムを基本に小物までコーディネートしてくれる、らしい。毎日1本のジーンズで過ごしている僕には無縁な代行業。

プラモデル組み立て代行
名前の通り。とくに説明は不要だろう。自分で組み立てないのならプラモデルなんか買うなと思うけれど、これも人によって事情はそれぞれなんでしょう。

謝罪代行
あふれ出る何でもあり感。ここまできたか、という感じ。支店のない小さい通販会社などが利用するそう。謝罪している人が代行だと知ったら、お客はさらに激怒しそうだけれど、それはいいのだろうか?

同窓会幹事代行
地方に散っている卒業生に連絡して同窓会の参加を確認していくのはかなり面倒。それを代行してくれるサービス。数人ならまだしもクラス一つ分とか、学年一つ分になるとかかる時間と手間はかなりのもの。仕事が忙しい人なら金を払ってでも代行してもらったほうが楽。

宿題代行
ここまでくると何のことやらわからない。でも商売として成り立つんでしょう。子どもの学校の長期休みのときの宿題や課題を依頼する親が増えている、らしい。僕にはうまく理解できない。尾木ママなら大激怒しそう。読書感想文代行は原稿用紙1枚で2000〜3000円。自由研究は5000円〜。ドリル1冊5000円。僕の予防ケアマネ時代の利用者一人あたりの単価は1ヶ月約4000円。泣けてくる。

他にもいろいろあるのだろうが、キリがないのでここまで。以下は職業として確立し、世間的にも認知されている代行業。こう考えるといろいろなものが代行業なのだなと思う。

専門性が求められる代行業

紛争解決・弁護(士)
とくに説明はいらないと思う。相談料の相場は30分5000円くらいだろうか。この弁護士と下の税理士・司法書士は有償・無償にかぎらず業務独占資格なので、資格を持っていない人は代行することはできない。

税務(税理士)
各種税金の申告・申請、税務書類の作成、税務相談にのる仕事。節税の代行、といったほうが分かりやすい。

書類作成・提出(司法書士)
専門的な法律の知識に基づいて登記や供託の代理、裁判所や法務局等に提出する書類の作成提出などを行う。本人にかわっておこなうのでこれも代行である。

ケアプラン作成(介護支援専門員)
やっとでました、福祉職。上の資格に比べると国家資格でもなんでもないが、介護サービスにはなくてはならない代行業である。本人・家族にかわり在宅介護サービスを調整し、ケアプランを立てる人。

ケアプランは本人・家族が作成することもできるが、内容がややこしすぎて現実的ではない。国保連への請求など見えないところでいろいろ代行してくれている。ちなみに施設の場合は施設サービス計画書を作成するが、これは施設側の義務みたいなもので代行とは言わない。

私たちは弁護士や介護支援専門員からいったい何を買っているのか?

代行業といえば引っ越しもそうである。引っ越しを依頼するのは重たい家具などを自分たちで運ぶことが負担になるからである。荷物量が少なく、大きく重い家具がなければ引越し業者に頼まないこともあるだろう。自分の力が及ぶ範囲でことがすむからだ。

でも荷物量が多く、大型家具があればほとんどの人は引越し業者に依頼する。1人で冷蔵庫をかついで階段を昇り降りするのは物理的に無理だし、2人で運んでいても慣れないからとり落として壊すかもしれない。階段を通らない大型家具などは2階の窓からロープで降ろすこともある。

家具が多ければ大型トラックを自前で借りなければいけないが、普通免許で運転できる重量には制限がある。引越し先が遠方なら長距離を自分で運転しなければいけない。

自分たちにはできないこと、あるいはできるかもしれないけれど大きな負担(時間・肉体的負担感・精神的負担感)が予想されることを、私たちは代行業者に依頼するのだ。

とくに専門性が求められる場合は、お金を払ってでも代行を頼むしかない。この原則は引っ越しだろうが弁護だろうがケアプラン作成であろうが同じである。

アドボケイトも代行業?

アドボケイト(権利擁護のための代弁)とは医療や福祉でよく使われる言葉である。権利の表明が困難な人のかわりに、その権利を代弁・擁護し、権利実現を支援することである。例えば本人や家族にかわって施設に意見を言ったり、ケアサービスの内容改善や苦情を言うことである。

こんなことを仕事にしているのは日本で僕だけだろう。もちろん単なる代行業とは思っていない。専門的な知識が必要だし、それ以上に権利擁護という側面を忘れてはいけない仕事である。

正直、金銭を対価として権利擁護を行うことには抵抗感がある。しかし、介護支援専門員は相談の対価としてお金を得ている職業である。それなら1人のソーシャルワーカーが独立し、またこの職種の認知度を高めるために対価に金銭を得てもいいだろう。それに、と僕は思う。子供の夏休みの宿題を代行してもらう仕事さえあるのだ。恥ずかしがることなんてなにもない。

普通の家族はどうしても介護の知識が不足してしまうし、何よりも介護施設で提供されるケア内容や、その仕組みを理解することは困難だ。現場で働いた人間にしかそこらへんのところはわからない。情報の非対称性。介護施設は家族にとって強固なブラックボックスなのだ。

そのため、家族は「これは施設側に言ってもいいことなのだろうか?」という戸惑いを最初から持っている。のちのち施設のやり方に不満を抱いても、「どうせお任せしている身だから」と自分の中で納得する理由をつくってしまうことになる。

介護施設は良くも悪くも独善的なところである。陸の孤島。アルバトロスの楽園。ロストワールド。自分たちが良いと思っている介護がすでに時代遅れのものだということに気づけない傾向がある。

家族が強くならないと施設ケアはよくならない

家族が強くなるというのはお金を払っているのだから介護の質をあげろ、と要求することではない。介護施設のキャパシティを超えた介護を求めることでもない。そんなやりとりはお互いにとって寒々しい結果しか残さない。

これまで介護施設のケアを向上させる源(パワー)は、介護職の内的向上心に頼っていた。人の晩年がこんなものでよいわけがない。もっとよい仕事(介護)をしたいという心持ちが介護の質を底上げしてきた。今ではオムツはずしやベッドからの離床、施設での看取りは常識になっている。

でも僕はこれまで通りのやり方では、介護の質は今より上がらないと考えている。介護保険が開始されたころの盛り上がりの機運はもはや過去の遺物になってしまった。現在の質を維持できればいいほうで、今後はじょじょに質が落ちてくるのではないかとさえ考えている。

悲観的すぎる、と言われるかもしれない。確かに僕には悲観的(ペシミスティック)な傾向がある。大学で卒業論文を指導してくれた先生からは「あなたはペシミスティックな論文を書くわね」と言われたこともある。でも僕は細部においてはペシミストだが、根本的にはオプティミスト(楽観主義者)だと考えている。

介護をよくするためには今まで通りのアプローチではいけない。家族が強くならないといけない。そう、攻め手がないわけじゃない。ちゃんとある(ここらへんが楽観主義的である)。僕は家族の気持ちをきちんと施設に届けたいと思う。そういったニーズは確実にあると思うし、そのための代行業が世の中にあってもいいだろうと思っている。

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