現場で使えそうな介護ロボット4選と使えなさそうなもの1選

僕はAIを活用したケアプランについて懐疑的な人間である。ケアプラン作成の行程をきちんと理解し、その一部を担わせるくらいなら実用性も出てくるかもしれない。ディープラーニング(※)を使うとしても、どう使うのかという人間側の問題が大きいと思う。

※ディープラーニングは人間が「プログラム」を与えるわけではなく、入力と出力のセットをたくさん与えてやることで、入力に対して正しい答えを導き出すことができるようになる機械学習の一つ。考え方は昔からあったが、コンピュータの処理性能の向上とインターネットを使った大量の情報獲得によって実用化できるようになった。代表的なところでは自動運転技術。数百万の静止画像と数千時間の動画でAIにディープラーニングさせる。

AIや介護ロボットを否定するわけではない。それらを否定すると電動車イスも否定しなくてはいけなくなる。電動車イスは在宅の人にとってたいへん便利なものだ。電動車イスがあるから外出が自立できる人がたくさんいる。あれもいわば介護ロボットである。

そこで以下のサイトに掲載されている介護ロボットを僕なりに検証してみた。こう使えば便利そうだなというところと、もうひと工夫欲しいところを上げた。なお画像も以下より借用した。

ケアマネタイムス 盛況! モダンホスピタルショウ2015でみたハイテク介護ロボ6選
 http://www.care-mane.com/member/news/6439?btn_id=related&CID=&TCD=0&CP=1

画像の説明

1. 富士ソフト(株) コミュニケーションロボット「パルロ」

パルロ
全高約40cm、重量約1.6kg人型ロボット。100人以上の顔と名前を覚えることができる。50種類程度のレクリエーション(体操など)を行うことも可能。最新のニュースや天気予報、健康情報も含めて様々な会話をこなす能力を持つコミュニケーションロボット。

これだけの機能だけなら現場ではほとんど役に立たないと思うのだが、最近家庭用のものが製品化された。これは利用者の会話の内容、パルロにどんな指示をしたかといった情報を、離れて暮らす家族のスマートフォンなどに届けてくれる。加えて居室の映像も送ることができる。

離れて暮らす家族にとって、訪問介護やデイサービスを利用していない家で1人でいる時間が心配なものである。こうした見守り支援ロボットをうまく使えば、異常の早期発見ができる。電話機能もあるようだが、どのように使うかまではわからなかった。

認知症のため電話をかけることや受けることができない人用に電話の相手側ですべてコントロールできれば便利になると思う。

さらにいうならビデオ電話機能もつけてくれるといい。そうなると別に人型をしている必然性はないのだけれど。ディスプレイを搭載し、映像を使ってリアルタイムでやり取りできるなら非常に便利である。家族が遠方でもサービス担当者会議に参加することができる。

2. ケアボット(株)「服薬支援ロボ」

服薬支援ロボ
設定した時間に音声案内と画面表示で服薬を教えてくれる。薬はケースにセットされた状態で出てくる。

これも在宅で役に立ちそうである。認知症の在宅生活者にとって服薬管理は頭の痛い問題だ。現在は訪問介護や訪問看護、またデイサービスのスタッフなどが服薬支援しているが、1日3回服薬するような場合だと、どうしても空白ができる。薬を飲むことが自分でできる程度の認知症なら、音声で案内してくれる服薬支援ロボットは使えると思う。薬がケースにあまった状態だと連絡がいくような機能をつけてもいいと思う。

3. パナソニック プロダクションエンジニアリング(株)「HOSPI」

画像の説明
薬剤や検体などを自動で搬送するロボット。地図情報と環境認識によって動き、経路も自ら判断する。エレベーターにも乗れる。

すでに病院では使われているのかもしれないロボット。介護施設でも使えそうな気はするが、まだこの程度のロボットなら人間が運んだほうが早いし確実だし、安くすむ。広い病院ならこういう搬送ロボットが必要になるのかもしれないが、介護施設は病院ほど広くない。

僕としては保管庫にあるリネン、オムツを自動で取り出し、各居室に自動で補充してくれる機能があればとても助かると思う。ついでに掃除機能も搭載してくれれば購入する介護施設はけっこうあると思う。

4. セコム(株)「My Spoon」

画像の説明
コントローラーを操作することで、アームの先に付いたスプーンとフォークを使い、ご飯やおかず、お菓子などが食べられる食事支援ロボット。

実は食事介助ロボットは昔から開発されてきた。でも食事動作というのはかなり難しい動きである。口にスプーンを自動で運ぶだけならまだいいのだが、ご飯やおかずをスプーンにのせる(すくう)動作が難しい。この機械はそこを克服している。技術自体はすごいと思うのだけれど、介護現場では使えないだろう。

まずテーブルに設置するには機械が大仰すぎる。テーブルには利用者がとなりあって座るのではっきり言って邪魔である。また専用の容器がいるのでコストがかかり、盛り付けするのも手間になる。その割には介助量が減らない。

なぜかというと、本人がコントローラーを使わないといけないからだ。本人が操作して食べないといけないけれど、けっこう微細な操作が必要で、要介護老人には操作できない。もし操作できるとしたら、自力で摂食できるはずである。これは頸髄損傷、筋ジストロフィーの人用で、要介護老人には使えないと思う。

強いて言うなら関節リュウマチの人で極度に肩関節の稼動域が制限された人だが、導入コストのほうが大きいだろう。

5. 本田技研工業(株)「歩行アシスト」

歩行アシスト
歩く時の股関節の動きをセンサーで検知し、太ももにつながるフレームで両足をサポート。コンピューターが利用者の動きを学習し、それぞれに合った歩幅やタイミングで正しい歩き方に矯正できる。

上で紹介した機器のなかではこれが一番使えるんじゃないかと思った。この歩行サポートを使えばまず転倒防止の効果が期待できる。手引歩行が必要な利用者が1人で歩行できるようになればしめたものだ。

僕としては装着型で立ち上りをサポートしてくれるものがあればいいと思う。立ち上りを行う本人に装着するので軽量で薄くしなければいけないし、素材も考えなければいけない。小柄なおばあさんも多いので、サイズの汎用性をとるのも難しい。こういったことを考えるとまだ技術的に難しいと思うのだけれど、メーカーの人には頑張って開発してもらいたいと思う。

今回はとりあげなかったが、電動歩行器というものもある。これは坂道の昇りでは電動アシストが使え、降りでは自動でブレーキがかかる優れもので、すごく便利だと思う。

今もたくさんの介護ロボットが開発されているが、本当に使えるものは限られる。今は介護ロボットの過渡期なのだ。介護ロボットについては興味があるので、今後も取り上げていきたいと思う。

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