認知症の行方不明者が過去最多を更新

画像の説明


はいぜん地域包括支援センターで働いていたが、よく警察から近所で行方不明者になった高齢者の情報が送られてきた。氏名、住所、写真(不鮮明でよくわからなかった)、行方不明になったときの状況、服装、認知症の有無が記載されていた。そういうものが2、3ヶ月に一度送られてくるのである。

また同じ職場で特養の宿直もしていたのだが、夜中に徘徊していた高齢者を警察が連れてくることが年に数回あった。全国規模で考える高齢の行方不明者はかなりの数になるのではないか?と思っていたが、ちょうど良いニュースがあったので掲載。

認知症の行方不明者、初の1.5万人超 前年比26%増 4年連続で過去最多を更新
ケアマネタイムス  http://www.care-mane.com/member/news/8390?btn_id=news-list&CID=&TCD=0&CP=1

認知症の行方不明者は全国で1万5432人

昨年の全国の行方不明者は8万4850人。その中で認知症が原因と思われる行方不明者は1万5432人。全体に占める割合は18.2%にのぼる。

警察が出している平成27年中における行方不明者の統計情報によると、行方不明の届け出で一番多い年代は10代の1万7071人(構成比20.8%)。これは平成25年からは減少傾向。その反面、70歳代は8558人(構成比10.4%)、80歳以上は8123人(構成比9.9%) と、70歳以上で20.3%となり、平成25年以降は年々増加している。

ちなみに行方不明といっても行方不明になったままではない。ちゃんと発見されている。警察への届け出から発見までに要する日にちは「当日」が最も多く、のべ3万443人(37.9%)である。普通に発見されたり、自分で家に帰ったりする人がほとんどだが、中には死亡発見の場合もある。次に多いのが「2〜7日以内」に発見されるケースで2万6937人。詳細は省くが9割以上の人は発見されている。

認知症が原因で行方不明になる人の場合、いくつかのケースが考えられるが、一番多いのは(1)「普段から1人で出歩いている認知症高齢者が道に迷う」ケースだろう。これが一番多いと思う。他には(2)「介護施設の入居者が脱走する」ケースとか、(3)「在宅介護サービスの利用中に脱走する」ケースもあると思うが、(1)が圧倒的に多い。

(2)、(3)の場合は発見までが比較的早いし、サービス利用中ということで介護職員が探しにでかける(それこそ必死に探す)。僕自身も何度か経験がある。こういうケースで見つからなかったという話は聞いたことがない。

しかし(1)の場合はたいへん困る。どこでいなくなったかということがわからないし、探す側の人間も基本的に家族である。家族がいない人の場合はお手上げである。担当ケアマネとかサービス事業者が探してくれることもあるが、それは仕事外のボランティアである。多くを求めるのは酷だろう。

地域の見守りネットワークは?

地域によっては認知症の見守りに力を入れているところがある。上記リンク先の記事を引用。

例えば福岡県大牟田市。家族から捜索願いを受けた警察が、周辺の鉄道会社やタクシー会社、郵便局、市役所などへ必要に応じて通知を出している。あらかじめ登録している市民にメールを送り、情報が速やかに共有される仕組みも整備しているという。

こういった取り組みは良いと思う。認知症サポーター養成に力を入れているところも多い。しかしこういった取り組みがどれくらい効果があるのかを本気で検証しているデータは寡聞にして知らない。

まあ僕の経験上、「あれ?あの人ちょっとおかしいぞ」と発見、警察に通報してくれるのはほとんどが地域住民である。だから周知を広めるのは効果的な方法だろう。

しかし、明らかにおかしいと思えるのは認知症が中程度くらい進んだ人である。軽度な人でとりつくろい行動をされると少しばかり認知症のことを勉強した人にはちょっとわからないと思う。警察に通報するのはけっこう勇気のいることなので、本人がその場でしっかり受け答えすれば(けっこうしっかりできる)通報まではしないだろう。

今後はこのような軽度の認知症の人が街中にもっと増える。義務教育レベルで認知症について教えたほうがいいと思うのだが、そういう動きはないようだ。かわりに認知症のキッズサポーター養成講座があるが、はっきり言って甘いと思う。

他には靴にGPSをつける方法がある。靴にGPSを仕込むのは携帯電話や小型のGPS発信機を本人に持たせるよりも確実だ。

でもそのモニターを誰がして、また誰が探すのか?という問題がある。いちばんやっかいなのは独居・頼れる親族なし・動ける認知症者という場合である。

こういった場合、担当ケアマネがGPS受信機を持つわけにはいかないし、警察も持ってくれるわけがない。役所にいたっては期待するだけバカをみる。となると民間の見守りサービス、というのが一番の落とし所になるのだが、現状で家族がいない認知症の人の徘徊対応をしてくれる民間業者はない。

ココセコムという会社が徘徊者のもとへかけつけてくれるサービスを提供している。1回1万円で、1時間を超える場合はさらに1万円追加ということである。しかしこれも家族からの要請がないと現場急行してくれない。

老いを管理するか、見守るか

この先、いま以上に老老世帯、独居世帯が増えるのは確実だ。だから認知症高齢者の徘徊はさらに問題視されるだろう。本人が外を歩きたいというのをどこまで、どのように管理するのか?人権の問題もからんでくるので簡単にはいかないだろうな、と思う。

管理しようと考えるとお互いに疲れる。どう見守るかという視点に立ったほうがいいというのが僕の意見である。しかし家族にしてみればそんな悠長なこと言ってられないよ、という気持ちになるのも分かる。認知症の高齢者が鉄道の踏切に入って事故をおこし、家族に賠償責任をせまった裁判は記憶に新しい。

僕の祖母も認知症だが独居で外を出歩いている。いつ事故にあうかわからないので他人事ではない。いちおう家族として打てる手はうった。でもそれでもまわりに迷惑をかけるならそれもしょうがないじゃないか。僕はそう考えるようにしている。

なぜならそれが老いるということだからだ。それに将来は自分だって年寄りになってボケて、徘徊老人になるかもしれない。目の前のお年寄りの老いを許容できなくて、どうして自分の老いを許容できるだろう?

日本の高齢化はまだとうぶん進む。好むと好まざるとにかかわらず、われわれの生活に老いが入ってくる。そのときに一人ひとりがどう老いと向き合うか。老いを管理しようとするか、それとも許容し見守るのか。
あなたはどちらを選択しますか?

コメント


認証コード9377

コメントは管理者の承認後に表示されます。