悪者はケアマネ?無届の有料老人ホームを紹介

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つて有料老人ホームは入居者が10人以上というのが条件だった。逆に言えば10人未満であれば、そこで高齢者が介護を受けて生活していても有料老人ホームではなかった。

しかし現在は1人でも「食事提供などの便宜を供与」していると有料老人ホームとみなされ、都道府県に届け出なければいけない。

しかし「有料老人ホームです」と届け出ればそれでよしとはならない。そう単純な話ではない。設備や人員、運営基準にある一定の条件を満たさないといけないからだ。

逆にそれらの条件が満たされていないと、有料老人ホームを運営してはならない。だから未届の老人ホームは確信犯的に届けていないのである。だからここでは「未届」ではなく「無届」と表現する。

それなら彼らが悪者であるかというと、単純にそう断定できないのが今日の記事。

行き場がない…「無届けハウス」の約7割が「ケアマネから紹介を受けた」

ケアマネタイムス http://www.care-mane.com/member/news/8380?CID=&TCD=0&CP=1&code=pc0616

無届の有料老人ホームでの火災事故

以前から老人福祉法の基準を満たさない有料老人ホームはあった。僕自身はそういった老人ホームに利用者を紹介したことも中を見たこともない。さらに付け加えるなら、周りで問題視している人を見たこともない。これには少なくとも2つ理由が考えられる。

(1)無届の有料老人ホームの数が少なく、僕がたまたま見き聞きしなかっただけ。(2)無届けだがとくに問題になるようなケアはしていない。届出済の老人ホームと大差ないため目立たない。

無届の有料老人ホームは全国に1000箇所以上あり、全体の1割ほどになる。けっこう多いと思うのだが、(1)これまで僕がたまたま出会わなかっただけだろう。(2)についてはよくわからない、というのが正直なところだ。

しかし、2009年に群馬県にある「たまゆら」という未届の老人ホームで火災事故がおこり、入所者が亡くなった。どこにもいき場所がない生活保護の人が福祉事務所のケースワーカーの紹介で入っていて、縁もゆかりもない土地で生活し、最後は火事でなくなったことが世間にちょっとした話題をよんだ。

どんなニュースにしてもそうだけれど、一瞬は話題になり人々の関心を引く。しかしすぐに忘れ去られる。僕たちのポケットの容量には限りがあるのだ。新しいもの(情報)が目の前に次々とでてくるから、それをいったんはポケットに入れる。

でもあとから次々と新しいものがでてくるので、ポケットに入れたものがすぐに古臭く感じられる。ポケットも重たくなる。だから僕たちは古いものから捨てていく。ものによっては1日もポケットに入っていないものさえある。でも中にはいつまでもポケットから捨てない人々がいる。一部の介護関係者や、一部のケースワーカー、そして一部の家族だ。

そして一部の役所の人も忘れない。そのため無届の有料老人ホームについて、国はこれまで対応策を出してきた。地域包括支援センターに無届の有料老人ホームがあれば報告するよう求めたり、次回の介護保険改正で無届のホームに対して行政権限を強く行使できるようにしたことなどだ。

具体的には自治体が運営停止を求めることができるようになった。しかし実際にこの権限を行使する自治体は少ないと思う。なぜなら停止に追い込んでしまうと、入居していた人たちをどうするのか?という問題が出てくるからだ。

ケアマネが悪者?

ここで記事内にあるケアマネージャーたちの意見を引用。

私もうちのケアマネ全員がお泊まりデイサービスも無届け施設も紹介した事はありませんので、7割も紹介している事が事実と思うことが出来ません。
現場感覚だと施設紹介会社、不動産屋、ケースワーカー、MSWさんなどの紹介が多いと感じています。
by cloudman(在宅)

上に書いたように、僕も紹介したことはない。そもそも第一選択として有料老人ホームを紹介することが少なく、ほとんど介護保険施設ばかりだった。しかし、今後はそうばかりも言っていられなくなると思う。理由は以下のコメント。

同じ特養でもユニット型個室では4段階でも13~14万もする、と聞きました。
特養は安い、と言いますが、やっぱりお金が無いと入れない、「無届ホーム」は苦肉の策でしょうか?
それだけ、国が作ったルールのハードルが高すぎるんです。理想が高いのは結構ですが!!
by ケアクマ子(在宅)

ユニット型特養はハッキリ言って高い。4段階というのは一定以上の所得がある利用者で、それゆえ利用料金の減免制度がまったく使えない人の場合である。減免は食事代と部屋代に使えるが、いずれにせよ高いのは「個室」料金である。介護保険のサービス料単価(食事、排泄、入浴などのケアにかかるお金)は多床室のほうが高く設定されている。1人をみるより4人みるほうが手間がかかるからである。しかし全体をみると個室に入っている人は負担料金が高くなる。

今までの高齢者は年金制度が整っていなかった時代の人々だったので所得が少ない人も多かった。でもこれからの高齢者は年金をある程度もらっていると思われ、そうすると減免が利用できない人も出てくる。負担割合の問題もあるし、介護に使うお金がなかなかの額になるのでは?と思う。

ケアマネ悪者ですね(*`・ω・)ゞ
おカネない、家族の支援ない、自分じゃどうしようもないって人を受け入れてくれる体制が整っていないからこうなるのだと思います

ユニット型特養や有料老人ホーム増やしても運営できないのでは意味ないと思います
ユニット型特養に入所しても経済的な理由で従来型特養への希望が多いようで、結局はおカネです。おカネあっても医療ニーズが高いから受け入れてもらえないとか、色々あるんです
これ以上振り回さないで下さい
by あら193(施設)

ケアマネを悪者にしたがっている。同じコメントが他にもあった。記事の見出しが悪いと僕も思う。ケアマネの紹介が7割という表現はなんか恣意的なものを感じる。
お金があるから良い介護を受けられるとは限らないが、お金があれば選択の幅を広げることができる。これはメリットであると僕も思う。地獄の沙汰もなんとやら。

市場原理を導入すれば営利目的だけの劣悪な事業所だって当然出てくる。無届けの施設が問題だと言うなら公営の施設を作れっつうの 。
by ムサシノ(施設)

公営というか、国に直接的な運営責任があるのは養護老人ホームだけである。養護老人ホームは経済的、その他家庭的な問題を抱えた人が入る所。こんなふうに書くとそんなの要介護老人すべてにあてはまるのではないか?と思われるかもしれない。しかし僕が知っている限り、養護老人ホームは入居するときは自立してないといけない。

すでに要介護の人は養護老人ホームには入居できない。それでは入居したあとに要介護状態になったら?特養に移る人もいるだろうし、介護を受けながら留まる人もいるらしく、身の振り方はケースバイケースらしい。

無届の老人ホームの今後はどうなる?

国が無届の老人ホームを規制する方向性を明示しているので、増加することはないだろう。かといって一気に減少することもないと思う。なんのかんのと今まで通りといった感じになるのではないだろうか。例えば有料老人ホームとして届け出ると、スプリンクラーの設置が必要になってくる。それだけでも投資が必要である。その他にも根本的な問題として部屋の広さがあり、廊下の幅があり、一番大きいところでは人員基準の問題がある。

もともと無届の老人ホームは安い利用料で運営しているところが大半なので、お金を工面することができないところが多い。また安い利用料を求める(というよりそれしか払えない)入居希望者が一定数いるので、その需要にこたえるホームが必要になる。

届出済でかつ料金が安いホームもあるのだが、数は限られているので選ぶレベルにまでは至らない。介護保険を払っているのに選べなければ意味がない。

いずれにしろ、制度から漏れてしまうグレーゾーンな人々に対応するものが必要になる。それが無届の老人ホームであり、それはこれからも変わらないのではないか。僕はそう考えている。無届が良いか悪いかというのはまた別の次元の問題として。

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