老人ホスト

元ネタは桂三枝の落語「じいちゃんホスト」
YouTube https://youtu.be/Qbxm4vSkv1c

このカテゴリは介護にまつわる落語を紹介します。以下の文章は紹介用に東野が手を入れて短めにしたもの。ただ紹介するだけだとつまらないので現場ネタを盛り込み一部変更(インシュリン注射のところなど)しています。ネタはあくまでも「じいちゃんホスト」なので転用等しないでください。本家はもっと長いし桂三枝の話芸を楽しみたい方は上記リンクをクリック。今後も不定期で落語ネタを紹介していきます。


「あら、奥さん。最近どぅお?」

「最近?男日照りが続いてるわぁ(笑)」

「やだぁ(笑)。あ、そうそう知ってる?最近ね、駅の裏にホストクラブができたのよ。一緒にいってみない?」

「ホストクラブ?なに言ってるのよ。あと40年若ければそんな元気もあるかもしれないけど、なにが悲しゅうてそんなところにいかなくちゃいけないのよ」

「それがね、普通のところとはちょっと違うの」

「違うって何が?」

「それがね、ちょっと平均年齢が高いの」

「そりゃ私たちが行くようなお店ならそうでしょうね。全員30代くらい?」

「それじゃ息子と同じくらいじゃないの。うふふ。もっと上」

「何よ、もったいぶらないで早く言いなさいよ」

「平均年齢75歳。ほら、いま高齢者が多いじゃない。いろいろなタイプがそろってるの。俳優でいうと、杉良太郎、高橋英樹、北大路欣也、津川雅彦、里見幸太郎、高倉健、三国連太郎、沢田健二、田村正和。もうなんでもござれよ。
息子より若い男の子と外を腕を組んで歩いている姿をみられてごらんなさいよ。軽蔑されるわよ。でも、80歳のホストとデートしていても、世間からはお年寄りに親切にしている人だなと思われるだけだから」

「ほんとにそんなホストクラブがあるの?」

「ほら、この前お店の前で田村正和似の彼と写真とったんだけれど、みてよ、ほら。いい男でしょう?」

「そうねぇ。あら、ホストクラブの名前が書いてあるわね。シルバ、かっこいい名前ね。シルバか。あれ?でも看板の右側が隠れているけど、このあとなんて書いてあるの?」

「ああそれはね、シルバー寄り合い。いろんな髪型の人がいるわよ。茶髪はもちろん、金髪、銀髪、赤髪、青髪、ラメ入り、スキンヘッド。ホストクラブって派手な髪形してるじゃない」

「スキンヘッドって単なる禿げてるだけじゃないの?」

「それにお客さんのその日の気分によって金髪にも銀髪にもしてくれるのよ。ええ?そんなことしてまでしてくれるのって?うん、簡単だから。かつらを選ぶだけだから」

「ほんと、簡単ね」

「ほら、店内の写真もあるのよ。みてみて。ものすごくシックですごく落ち着ける空間になっているでしょ?」

「そうね、すごく持ちついてるわね。畳と座布団があって、壁紙は黒と白のストライプがはいってるのね」

「指名もできるのよ。しかも一回指名したらずっとあなたのそばを離れないの。素敵でしょう?だっていったん座ったらなかなか立てないから」

「そうそうこっちの人の写真もみて。この人には特技があってね。何だと思う?」

「想像もつかないわ。恰幅がいい人ね」

「糖尿病でこの20年間インシュリン注射を打っているんだけど、これまでに一度も単位数を間違えたことがないことなのよ。誰にでもできることじゃないわ〜」

「わかったわ。あなたがそんなに言うんなら、今日いってみましょうよ」

「あら、今日は駄目なのよ」

「なんで?今日は主人も出張だし子供も仕事で遅いし、遅くなってもぜんぜんかまわない日なのよ。なんでダメなの?予約でもいるの?」

「予約なんていらないのよ。行ってもだいたいみんな暇してて、朝刊を虫眼鏡で3回くらい繰り返して読んでいるだけだから。なんども同じところを」

「じゃあなにが問題なのよ?」

「営業時間」

「営業時間?」

「もうすぐ夕方の6時でしょ?」

「それがどうしたのよ、これからがホストのお店が忙しくなる時間じゃない」

「ダメなのよ、このシルバー寄り合いの営業時間は朝の7時から昼の2時までなの。みんな4時には晩御飯食べて、6時には寝ちゃうから」

コメント

  • 落語

    桂文枝の落語にも同じようなものがありますね。ANAの機内で聞ける落語では初めて聞いて、座席に座って、笑いたいのをこらえて、肩を震わせながら聞いてました。
    桂文珍も老人向けの落語をやっていて面白いですよ。
    福岡におばあ様が独居でおられるとか。私の母も2年ほど前まで福岡で独居でした。ボケボケでだったので、ガスは使えないようにして電気、水のみ使用可の状態で数年持たせました。
    小規模多機能を使っていたので、毎日朝迎えに来てもらって、夕方家に送ってもらいました。
    3食とおやつ、それと毎日風呂(ついでに服も洗ってもらい)も入れてもらって、家には寝に帰るだけの生活でした。
    家の鍵は小規模多機能に1本、近所の方に2本渡して、いつなんどきでも異常があれば家に入っていただけるようにしていました。
    「宅老所よりあい」のようなところをと、探しました。ありました、すごくラッキーでした。
    最後まで自宅でいけるかとも思いましたが、さすがに紙パンツをトイレに詰まらせて、水をあふれさせてしまったので、施設に入居となりました。
    市営のアパートだったので、トイレのあふれは階下に大変ご迷惑なので。
    東京から2か月の一度の帰省での遠距離介護は7年に及びその間ケアマネの資格も取得しました。宅老所よりあいについて知っていたことが、自分の親の介護にとても役に立ちました。
    知るということは、大変重要だと思っています。


  • 落語 老人ホスト

    りんごさん

    コメントありがとうございます。ご指摘のとおり、元ネタは桂三枝の「じいちゃんホスト」です。あまりにも面白かったので、一部だけ変えて文章にしてみました。でもすぐにこれは剽窃になるかな?と思い削除したつもりでした。

    しかし削除できておらず、それにコメントをいただいたのでどうしたものかと考え中です(笑)。桂文珍の老人ネタの落語も面白いですよね。僕もよく聞いています。コーヒーをのむときにスプーンが目に刺さるとかいいですよね。
    介護って暗い話題になりやすいので、こうした落語で笑えることを知ってほしいと思い、紹介したいなとは考えています。

    上の老人ホストも出典先を明記し、剽窃にならないように注意してこれから落語のネタを紹介していきたいと思います。



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