処遇改善加算が作る新たな問題

護職員の給与、9,500円増の29万円 厚労省「処遇改善は着実に進んでいる」
http://www.care-mane.com/member/news/8198?btn_id=news-list&CID=&TCD=0&CP=1
ケアマネタイムスより

リンク先の記事の内容はタイトル通り。ちなみに29万円というのは賞与などすべて一緒にした平均金額。それでも29万円。「改善は着実に進んでいる」のか?

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処遇改善加算とは何か?
処遇改善加算とは、介護職員の給料に還元する目的で介護事業所が利用者から直接もらっているお金のことである。介護保険サービスの利用者には意外と知られていないかもしれないが、費用には保険が適応されている部分と、適用されていない部分がある。処遇改善加算とは適用されていない部分のお金だ。

なぜ保険料を支払っているのに処遇改善加算なんていう保険がきかないものがあるのか?
下はある議員の会話。当たらずともすごく近いと思う。

議員A「介護報酬はこれ以上高く設定できないよなあ。このままいくと保険料が1万円超えちまうぜ」

議員B「財源の半分は税金ですしね。介護保険法つぶしますか」

議員A「バカ言うなよ。まだ施行して20年もたってないじゃないか。介護なんかに予算はまわしたくないけど、世論があるしな。マスコミは介護士の給料が安いから人が足りないんだ、としか言わねえし」

議員B「介護士の給料なんて上げたって」

議員A「しかしまあしゃあない。介護報酬とは別の財源を用意するしかねえか」

議員B「どこにそんな財源があるんですか?」

議員A「年寄りの財布があるじゃないか。やつらの金をもっと使わせないと」

議員B「なるほど。さすがです」

議員A「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金を何で私が払わないといけないんだ」

議員Aの現在のポジションは副総理という設定だが、架空の人である。

処遇改善加算は介護職の低賃金の根本的問題を解決する仕組みにはなっていない。介護報酬、つまり広い意味での社会保障費について書くと複雑になりすぎるので、ここではもっと身近な問題について考えてみたい。処遇改善加算はケアマネージャーや相談員などには還元されない問題。つまり安い、安いと言われている介護職よりも彼らの給料のほうがもっと安いことについてである。

ケアマネージャーたちの本音満載
ここのサイトは記事の下にあるコメント欄が面白い。ケアマネの本音がダイレクトなので、読む価値がある。僕も元ケアマネとして共感するものが多い。中にはやっかみみたいなコメントもあるけれど、まあその気持ちも分からないではない。

コメントをいくつか。

平均給与額が28万9780円×12でだいたい年収350万円ですか
私より貰っているんですが…
どうしよ この先 ケアマネ続けた方が良いかな

実際に介護からケアマネ職に転向を打診しても「給与が下がるので嫌です」って断られてます。

介護職とケアマネの給料の差がひどすぎる。
これでさらに更新研修で5年ごとに数万円かかるんやで?
なお手取りにすると、これの8割くらいの額になります。
苦労して時間かけて勉強して給料の下がるケアマネ資格なんて取る意味なし。

http://www.care-mane.com/member/news/8198?btn_id=news-list&CID=&TCD=0&CP=1
ケアマネタイムスより

僕も施設介護職から在宅ケアマネに異動後、給料が減った。夜勤手当がないのと、処遇改善加算がもらえなくなったからである。夜勤手当がなくなるのはまあいい。夜勤してないんだから当然である。しかしこの処遇改善加算というものがいやらしい。介護職にしかまわせないからだ。

国が欲しいのは介護職だけ
国が介護職を増やしたいという意図は分かる。しかし同じ法人の中で、国が一つの職種だけを優遇するのは不公平ではないだろうか。こう言うと、いやいやそれは違う。処遇改善加算にかかる費用は利用者から直接とるのだし、取るか取らないかも法人(事業所)の判断である。なにも強制はしていない、と切りかえされそうである。

それに処遇改善加算は当初、介護職にきちんと還元されているか使途不明な部分もあった。だから介護職にきちんと行き渡るよう改正もした。使い方はあなた達しだいだし、他の職種については経営努力するかでしょ、とも言われそうだ。

国が欲しいのは単純に介護職の「量」である。ケアマネージャーを例にすると、すでに資格所持者はあまっている状態である。都市部では居宅介護支援事業所の数は実際の利用者の必要数を超えている。つまりケアマネの数も事業所の数も余剰ができているのだ。もちろん地域によって数が足りないところもあるが、資格所持者の数だけをみると、もう充分量が確保されている。

ひるがえって介護職の数は足りていない。それなら国の政策として、介護職だけを優遇、という結論になるのは当たり前なのだろう。ケアマネを目指している介護職には「ケアマネになると給料が減るよ。介護職員のままがいいよ」ということであり、現職のケアマネには「介護職のほうが給料がいいよ。異動するか転職しなさい」ということだ。

介護職とその他の職種の給料格差という新たな問題
しかし、処遇改善加算を取得しているのは全介護事業所の9割である。これはすでに加算をとることが前提になっているといえるだろう。僕が働いていた事業所でも給与が減るという理由でケアマネへの異動を断る職員がいた。そしてこの給料格差は無視できないくらい開きつつある。僕のケースでは月額1万円〜2万円くらいの差になっていた。

今後も処遇改善加算によって処遇改善をすすめると、介護職とそれ以外の職種(相談員、ケアマネ、栄養士、調理師、事務員)との給料格差が広がっていく一方である。そうすれば介護職への誘導という国の意図通りになるかもしれない。

だがとうぜん相談員やケアマネージャーも必要である。彼らの仕事内容は直接的な介護とは違ってわかりにくい。けれども家が柱だけでは建たないように、介護も介護職だけでは成り立たない。柱と柱を機能的に繋げるための釘やネジが必要になのだ。

国の論理は「経済」が中心である。「効率」と言い換えても良い。現場の我々とは考え方の仕組みが違う。しかし処遇改善加算によって処遇改善が進んでいる、という論理が本当に経済的で効率的なのか。僕はそうは思わないのだけれど。

平成29年度からの処遇改善加算についてはここにまとめられているので、ソースが欲しいかたは閲覧を。しかし年々ややこしくなってくる。正直もうわけがわからない。
http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/vol.580.pdf

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