自分が介護される立場になった時に備えていること第1位は?

画像の説明

イボイスコム株式会社が行った「介護」に関するインターネット調査。その結果が興味深かったので取り上げた。詳しく知りたい方は下記のリンクから。僕が気になったのは以下の箇所。

自分が介護される立場になった時に備えている・いた人は4割弱、20代では2割、50代以上では4割となっています。女性50代以上では、5割弱と特に高くなっています。準備していることでは、「貯蓄、投資など、経済面での備え」が17.4%で最も多くなっています。女性50代以上では、「経済面での備え」「身辺確認・整理」が他の層よりやや高くなっています。

マイボイスコム株式会社 http://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/22216/index.html

経済的なことに対する備えが一番多い
サイトから図を引用。見ていただくとわかるように、保険や年金加入などを加えれば、経済的なことに対して備えている人の割合がすごく多い。

画像の説明

ケアマネとしての実感のずれ
僕としては備えの第一候補が「お金」という所に違和感を持った。経済的な問題で良い介護を受けられなかった、というケースをあまり知らないためだ。というか逆にいうと、お金を持っていたからといって良いケアサービスを受けられる保証はない、ということである。それよりもどこの事業所なら良いケアサービスが受けられるか?という情報収集のほうが重要ではないか。

でもこう考えるのは、僕が長年ケアマネや相談員として仕事をしてきたからだ。「どこの事業所なら良いケアを提供してくれるか?」と考えるクセがついている。また費用面で言えば介護保険サービスは公定価格なので事業所によってあまり差が出ないことも影響している。

もちろん日本の介護サービスは購入するものなので、お金はかかる。在宅サービスは利用すればするほど料金がかかるし、施設では居室代・食事代の減免が受けられないとかなりの負担になることも承知している。だから介護にかかる費用を貯蓄したり、保険をかけたりすることに意味がないわけではない。

というか実はいま僕も祖母の介護問題を抱えていて、経済的な問題はとても大きいと感じている。介護の当事者家族になると考え方が変わってくるのだ。そこで介護とお金について将来的な視点もふまえ、在宅介護と施設介護のそれぞれについて考えてみた。

在宅介護の場合の経済的問題
介護保険サービスの料金は公定価格で決まっている。この価格は全国一律ではなく、かなり複雑なのでここでは詳しく書かない(というより書けない)。ごく簡単に言うと、住んでいる地方による違い(都市部が高く設定されている)や、事業所の介護福祉士の資格取得者の割合、口腔ケアやリハビリの有無で変わったりする。他にもたくさん加算要件というものがある。しかし在宅介護で利用率が高い訪問介護やデイサービスはどこを利用しても料金的に大きな差はないと考えていい。

だから問題はどこの事業所か、というよりも利用回数になるだろう。あたりまえだが利用回数が増せば費用も増える。介護度によって介護保険でカバーされる上限が決まっているので、上限を超えた分は全額自己負担(10割)になる。例えばショートステイの送迎サービスは介護保険適用なら片道184単位(184円)だが、10割負担だと1840円になる。そんないろんなものを合計すると数万円単位で費用が跳ね上がってしまう。ここが怖い。

ちなみに最重度の要介護5の上限額は36065単位。実際の料金は利用するサービス種類によって1.☓倍と計算して算出される。これは非常にややこしいので、ここでは単純に円に換算して考えることにする。つまり介護保険の枠内に収まっているなら、月に要する費用は上限ぎりぎり使っても約3万6千円。これに加えて、デイサービスやショートステイを利用していると、食費が別に必要なのでこれにプラスアルファされることになる。

経済的に一番しんどい層は?
現在、多くの要介護高齢者の介護保険サービスの負担割合は1割である。1割負担で在宅介護サービスをあまり利用せずとも生活できる人々は特に問題ないと思う。
しかし、今後は福祉用具が保険からはずされ10割負担になる可能性もあり、ここで差が出てきそうである。
また一定程度以上の収入がある世帯は2割負担になっていて、将来にはたぶん3割負担の層もできるだろう。まあ彼らの場合は収入が多いのであまり問題にはならないと僕は思う。

一番しんどいケースは生活保護ぎりぎりなのに保護の対象にかからない世帯だ(僕の祖母がこのケースだった)。医療費や介護費が生活保護の対象になればずいぶん違うのだけれど、世帯の収入が保護適用よりもぎりぎり下回らないため、福祉事務所からだめと言われる。そのため医療や介護サービスの利用も抑えるしかない。こういう人々はストレスがたまる。生活保護をもらっている人のほうが自分たちよりも楽をしている、と言う。

たしかに医療費・介護費の経済的な負担感に関しては彼らの言うことが正論である。MRI検査なんかすると高い検査費を請求される。そのために検査を受けない(受けられない)利用者がいた。
その利用者は年金をもらっているが、それほど高い額ではない。それに無年金の妻との二人暮らしで生活費はキュウキュウである。本人と妻がかわりばんこに入院したときは本当に生活費が苦しくて、生活の足である電動車イスを返却しなくてはいけなかった。

かたや若い時から賭博三昧でカタギの仕事なんかしたことがない生活保護の利用者もいた。この人は保護費が入るとすぐに賭博に使って、すっからかんにしてしまう(もう完全に病気である)。じゃあ生活費がなくなるとどうするか?食べ物だって買えない。光熱費だって払えない。

彼は病院に入院するのである。そこなら3食風呂つきで空調も整っていて光熱費もかからない。退屈すると病院の近くを散歩したり友人宅に遊びに行ったりする。そして次の保護費が出る頃にちゃっかり退院するのである。それを繰り返す。

生活保護をもらっているのがこんな人ばかりでない。でもこの人を見ていると、さすがに「そりゃちょっとないんでないかい?」と僕も思う。経済的な問題で必要な検査も受けられない人と、必要もない入院ができちゃう人。入院させる病院にも問題があるのだが。

施設介護の場合の経済的問題
在宅介護の良い所は、相性が合わなかったりサービスに問題がある事業所を簡単に変更できる点である。またサービスの種類や回数を負担できる上限にそって調整できることだ。

その点、施設介護、つまり老人ホームへの入居は費用の面から考えてもそうとうシビアである。1ヶ月5〜7万円程度の安い費用で入居できる老人ホームと言えば、従来型の特別養護老人ホームの多床室。この一択しかない。
しかも5〜7万円程度という費用は非課税世帯(住民税を払っていない)で食費・居室代の減免制度が使える人たちが対象である。

特別養護老人ホームのユニット型だと最低でも1ヶ月12、3万円はみておく必要があるのではないか(本人の要介護度にもよる)。医療費などは別に必要なので、実際の負担はもっと多い。団塊の世代は年金をきちっともらえる人々が多いだろうから、減免が使えず、自己負担がものすごく高くなりそうな気がする。

また最近になって雨後の筍のように乱立しているサービス付き高齢者住宅も広義には老人ホームと言っていいだろう。また介護付き有料老人ホームもある。この2つは費用がピンきりであるが、最低でもユニット型特養と同程度と考えるべきだ。またこの2つは入居時に一時金として最低でも数十万円から数百万円のお金が必要になる。

お金はあったほうがいいのか?
有料老人ホームに勤めている知り合いから聞いた話である。そこは入居一時金が1500万円、月々の費用も30万円程度かかる有料老人ホームだった。費用的にみれば中間レベルだろうか。高すぎはしないが、けっして安くはない。

そのホームに脳梗塞後遺症をもった車椅子の人が入居していた。彼には後遺症としてナースコールを頻回に押すクセがあった。また同じことを何度も繰り返ししゃべり、コミュニケーションのとり方も普通とは違っていた。でも僕からみればそんなのは脳梗塞後遺症のよくある症状である。これまでに何度もそんな要介護高齢者のケアを経験している。

しかしそのホームの介護スタッフは彼の部屋のナースコールを壁からひっこぬいてしまった。頻回なナースコールに辟易したのだ。ナースコールを抜かれた彼は、それでも自分の訴えを誰かに聞いてほしくて部屋から介護スタッフの名前を休みなく連呼していたそうだ。だがほとんどの介護スタッフはその訴えを無視して部屋の前を通り過ぎ、最低限の関わりしか持とうとしなかった。

これは極端な例ではないか?と言われるかもしれない。でも僕はまったくそうは思わない。こういう扱いを受けている入居者はおおぜいいると思う。お金がある=良いケアサービスが受けられる、とは限らないのだ。

お高い有料老人ホームのお金がかかっている部分は豪華な建物やヨーロッパあたりから輸入した調度品などの見てくれ部分である。入居費用が高い有料老人ホームだから、介護の質も高いとは聞いたことがない。まあそういうセレブな世界に縁がなかったせいかもしれないけれど。

お金を持っている=選択肢が持てる
介護に関して言えば、

お金を持っている=良いケアサービスが受けられる

という図式は成り立たない。それよりも、

お金を持っている=ケアサービスの選択肢が持てる

ということである。こうした意味合いにおいて、お金はないよりあったほうがいいと思う。お金に十分な余裕がある人々は有料老人ホームに入っても、気に入らなければ退去して別のホームに入居しなおすことができる。経済的に余裕のない人が入所(居)系サービスの選択に失敗すると、かなり悲惨なことになる。

また在宅介護でも重度になればなるほどサービスが必要とされる傾向にある。上限額を超えると介護保険がきかなくなるため、その分を自費でまかなえる経済力が必要になる。また訪問介護などの介護保険サービスは制限が多い。制限をはずすためには自費サービスの活用になり、これまたお金がかかる。

このさき医療費と介護費についてはお金持ち層と生活保護層の2極に比べ、経済的中間層が一番負担感を持つことになると僕は予測する。長生きすればするほど、医療費と介護費が自分の首を(あるいは家族の首を)真綿のようにしめていくのだ。

うーん。これは他人事じゃない。僕も自分の老後がかなり心配である。でもその前に祖母の問題がある。そしてその後にはたぶん親の介護が待っている。僕の親は65歳でまだ出来たてほやほやの高齢者だが、この年齢になると脳卒中なんていつおきてもおかしくない。心の備えはできているつもりだけど、経済的にはまったく何も備えていない。

やれやれ。

どなたか民間の介護保険会社で良いとこ知りませんか?

コメント


認証コード1413

コメントは管理者の承認後に表示されます。